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ウェアラブル機器を使用した学内学習システムの定量評価

斧 麻衣, 大阪大学 特別研究報告, Feb. 2005.

論文概要

現実環境の事物に関する様々な情報を現実環境に居ながら参照するためには,地図や図鑑,あるいは PDA(Personal Digital Assistance)などを携行して,利用者が自ら情報を検索し,得られた情報と実際の事物を自発的に対応付ける必要があった.一方,近年ユーザの位置に応じて注釈情報を現実環境に重畳表示するウェアラブル拡張現実感(AR : Augmented Reality)技術を応用したシステムに関する研究が進められている.一般に,ウェアラブルARシステムではユーザの位置や姿勢(首振り角)を計測し,ユーザ周囲の現実環境に関連する様々な情報を,HMD(Head Mounted Display)を通して能動的かつ直感的にユーザに提示することができる.例えば,初めて訪れた土地の建物に接近するだけでその建物の情報が HMD を通して重畳表示されるため,ユーザは自ら情報を探す手間が省け,また得られた情報とその対象物の対応関係が即座に理解できる.しかしながら,現実環境に関連する情報を獲得する作業に対してウェアラブル AR システムがどの程度実際に有用であるのかは明らかではない.従来,ウェアラブル AR システムの有用性を評価する有効な評価尺度は明確にされておらず,有用性に関する定量的な評価も行われていない.このような定量評価が可能となれば,ウェアラブル AR システムを構築する際の性能指標として利用でき,さらなる改良やシステム間の比較に活用することができる.そこで本研究では,ウェアラブルARシステムの有用性を定量的に評価するための評価尺度について検討し,実際に試作システムを構築して従来の携帯端末を用いたシステムに対する有用性を定量的に評価することを目的とする.また,実験結果から,ウェアラブル AR システムの有用性について議論する.具体的には,ウェアラブル機器としてジャイロセンサ,GPS (Global Positioning System),および HMD の 3 点を利用した AR 型学内学習システムと,これらのウェアラブル機器を用いない携帯端末型学内学習システムを試作し,学内の事物を探索するタスクを用いてこれらのシステムを比較した.評価尺度としては,ユーザの能動的な作業工数(クリック数)や歩数,移動距離,および事後の記憶テストなどのパフォーマンス評価尺度と使いやすさや情報の探しやすさなどの主観評価尺度を用いた.実験の結果,HMD を用いたシステムでは,GPS による位置検出の精度の問題でかえってユーザを混乱させる場面が見られたが,主観的な評価からは良い結果が得られた.(pdf file)

関連論文

  • "ウェアラブル機器を用いた学内学習システムの定量評価に関する検討", 電子情報通信学会 総合大会講演論文集, A-16-17, Mar. 2005. (pdf file)