現在位置: ホーム / 研究紹介 / ウェアラブルコンピューティング・拡張現実感に関する研究 / 視認性向上のための光学シースルーHMDの自動調光に関する研究

視認性向上のための光学シースルーHMDの自動調光に関する研究

劉 暢, 大阪大学大学院 修士学位論文, Feb. 2017.

研究概要

近年,光学シースルーヘッドマウントディスプレイ(Optical See-through Head Mounted Display,以下光学シースルーHMD)と呼ばれる頭部装着型のデバイスが急速に普及しつつある.光学シースルーHMDは光学コンバイナを用いて,ユーザの視野に直接デジタル情報を実世界と物理的に重ねて表示する.そのため,ユーザは自然な視界を保ったままデジタル情報を読み取ることができる.しかしその性質から,デジタル情報と実世界情報が相互干渉し,特にHMDおよび実世界の視認性に強く影響する.光学シースルーHMDの使用時における視認性を改善するために,様々な手法が提案されている.しかしそれらの研究はほとんど,HMDもしくは実世界片方のみの視認性に注目している.光学シースルーHMDの日常における使用を考慮するとき,HMDと実世界双方の視認性を確保することが望ましい状況が多く考えられる.この点を踏まえ,本研究はHMDと実世界のコントラストに着目し,HMDのバックライト光量を適切に調整することで,HMDと実世界双方がバランスよく視認できる状態を保つことを目的とする.具体的には,ユーザの視認性評価に基づき調光手法を提案する.提案手法は主に(1)視認性評価データの収集(2)重回帰分析による視認性予測モデルの導出(3)視認性予測モデルに基づいた調光アルゴリズムの実装の3つのステップに分かれる.(1)では視認性評価実験を行い,異なる環境照明においてHMDに対する視認性評価データを収集する.(2)で実世界の明るさおよびHMDの明るさによる視認性予測モデルを導出し,(3)で予測モデルに基づき調光アルゴリズムを実装する.提案手法に従い調光システムを光学シースルーHMD上に実装し,ユーザ評価実験を実施した.ユーザ評価実験の結果,HMDと実世界双方がバランスよく視認できるという目的に対し,提案手法の一定の有効性を確認した.また,ユーザの視認性評価における個人差について検証実験を行った.その結果,最適と感ずるバックライト輝度には個人差が存在するものの,視認性予測モデルを調整することで個人差を反映してバックライトを自動調光できることが示唆された.

関連論文・発表

  • “Automated Backlight Modulation of Optical See-through Head Mounted Displays Based on Users' Visibility Evaluation”, Asia-Pacific Workshop on Mixed-Reality(APMAR2017), 2017
  • “Automated Backlight Adjustment of Optical See-through HMDs for Improved Visibility”, Proc. 8th Asia-Pacific Workshop on Mixed Reality (APMR), 2016.
  • "情報視認性向上のための光学シースルーHMDにおけるバックライト輝度の自動調整", 電子情報通信学会技術研究報告, MVE2015-93, 2016.